フォレンジック調査会社はどう選ぶ?各社の費用感・特徴・実績も踏まえて紹介

目次
フォレンジック調査とは

フォレンジック調査とは、デジタルデバイスから法的な証拠価値のある情報を特定・収集・分析するプロセスです。
このタイプの調査は法医学の原則に基づいており、法的な証拠としての価値がある情報を提供します。コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデジタルデバイスからデータを探し出し、法的な証拠として使用できる形で確保・分析することを指します。
企業においては、情報漏洩の原因究明、従業員の不正調査、サイバー攻撃の被害範囲特定などに活用されています。調査結果は裁判での証拠として使用されることもあり、高い技術力と専門性が求められる分野です。
フォレンジック調査会社に依頼するメリット

専門の調査会社に依頼する最大のメリットは、その専門性と効率性にあります。
専門知識の活用
フォレンジック調査は特化した知識と技術が要求されるため、専門会社の豊富な経験と専門性を利用できます。最新の技術や法律に関する知識を持つ専門家による調査は、より高い精度と信頼性をもたらします。
時間とコストの削減
自社で同レベルの調査を行おうとすると、専門的なツールやトレーニングが必要となります。専門会社に依頼することで、これらの初期投資を削減し、迅速な調査を実現できます。
客観性の確保
独立した第三者が調査を行うことで、結果の客観性を保ち、内部のバイアスを排除できます。これは法的な証拠が必要とされる場合や、調査結果に対する公正な評価を求める際に重要です。
リスクの最小化
専門の調査会社は、データの保全から報告書の作成に至るまで、法律や規制を遵守した手続きを踏みます。これにより調査過程でのリスクを最小化し、企業の信頼性やブランドイメージを守ります。
フォレンジック調査はどんなときに行うもの?

不正行為の疑いがある
社内の従業員やパートナーによる詐欺、盗難、巧妙な不正などが疑われる場合、フォレンジック調査を行い証拠を集め、犯罪者を特定することができます。
データ侵害が発生した
データ侵害やサイバー攻撃が発生した場合、フォレンジック調査を行うことで攻撃の原因を特定し、将来の侵害を防ぐための対策を立てることができます。
法廷証拠の収集が必要
訴訟において証拠が必要な場合、法的な証拠として認められる情報を特定、分析、保存するためのフォレンジック調査が行われます。
システムのパフォーマンス問題がある
何らかの理由でシステムのパフォーマンスが低下した場合、問題の原因を特定するためにフォレンジック調査を行うことがあります。
事故調査
工場や製造業などにおいて、事故が発生した場合、事故の原因を解明し、再発防止策を立てるためのフォレンジック調査が行われます。
フォレンジック調査は証拠収集と解析のプロセスであるため、疑問のある状況や問題を解明するために行うことが一般的です。
フォレンジック調査会社の選び方

デジタルフォレンジック調査は、セキュリティ侵害の詳細な調査、犯罪の調査、または法的な証拠の収集を行うために行われます。以下の要点を考慮して、フォレンジック調査を依頼する際のプロセスを準備してください。
調査の目的と範囲を明確にする
フォレンジック調査は時間とリソースを多く必要とするため、調査の目的と範囲を明確に定義することが重要です。何を解明したいのか、どのデバイスやデータを対象とするのか、など具体的に明示することが重要です。
適切なサービスプロバイダーを選ぶ
調査の成功は、選択するフォレンジック調査会社の経験、技術力、評価に大きく依存します。専門性と知識だけでなく、調査結果を明確に報告し、理解しやすい形で提供できる能力も重要な選定基準となります。
フォレンジック調査はスピード感を求められるため、迅速な対応をしてくれるかどうかも見ていくといいでしょう。
法的考慮事項
データの取り扱いは法律により厳しく規制されています。適切な許可を取得し、プライバシー法やデータ保護法を遵守することが重要です。また、法廷で証拠として利用する可能性がある場合は、証拠の保全と連鎖の保証を確実に行う必要があります。
コミュニケーション
調査の進行状況、初期の調査結果、最終的な報告書など、調査の全過程にわたって適切なコミュニケーションを維持することが重要です。
調査結果の解析と対応
フォレンジック調査の結果は、問題の発見と解決だけでなく、将来的な問題を防ぐための対策を立てるための情報源でもあります。結果を詳しく分析し、適切な対策を検討することが必要です。
フォレンジック調査会社31社を徹底調査

主要なフォレンジック調査会社の特徴
FRONTEO
FRONTEOは豊富な実績を持つフォレンジック調査の大手企業です。高い技術で問題を早期発見し、PC・スマートフォンをはじめとする各種デバイス・システム内のログファイル、ビッグデータ解析まで幅広く対応しています。
行動情報科学研究所で日々開発されている技術と、長年培ってきた調査能力や法務・内部統制での対応ノウハウを活用し、問題の早期発見や解決をサポートしています。案件の種類も多種多様で、大量ドキュメントの調査も効率的に行うことが可能です。
レオンテクノロジー
レオンテクノロジーは、ニーズに合わせたさまざまなサービスを提供するフォレンジック調査会社です。専門エンジニアがインシデントの全容を解明し、調査後のアフターフォローも充実しています。
クライアントごとに異なるインシデントの内容について、専門エンジニアが丁寧にヒアリングを実施。調査完了後、約5営業日以内に調査報告書を提出し、報告書の内容に基づいたインシデントの内容共有や、今後の対策についてのアドバイスも行っています。
AOSデータ株式会社
AOSデータは簡単で低コストなソリューションを提供している会社です。フォレンジックの初期調査を高速で行えるツール「AOS Fast Forensics」を提供しており、特殊なフォレンジック技術がなくても、USBメモリを調査対象に挿入するだけで簡単に調査を行うことが可能です。
操作は簡単で、インストール不要、USBメモリで起動させるだけで1クリックで調査を行い、画面上ですぐに分析を行えます。情報漏洩や労務問題などの社内不正に素早く対応することができます。
サイバーディフェンス研究所
高度な技術で原因と被害範囲を徹底究明する専門企業です。法執行機関の専門家や、民間企業のセキュリティエキスパートへのトレーニングを担当したフォレンジックのエキスパートが、初動対応から調査、復旧支援と再発防止策のアドバイスまでワンストップで支援しています。
フォレンジックエンジニアを中心に、マルウェア解析のエキスパートや、攻撃者の視点・思考に精通したペネトレーションテスターなどで構成される専門チームが、能力を結集して総合的な分析を行います。
調査会社選定時の重要ポイント
実際の調査において、以下の要素を確認することが重要です:- 自社調査の可否:下請けに出さず、自社で調査を完結できるか
- 専門資格者の在籍:国際的な資格を持つエンジニアが在籍しているか
- 対応スピード:緊急時の迅速な対応が可能か
- 調査範囲:PC、サーバー、スマートフォン、クラウドデータまで対応できるか
- アフターフォロー:調査後の再発防止策まで提案してくれるか
ファストフォレンジックとディープフォレンジックとは
ファストフォレンジック(Fast Forensics)
このアプローチは、可能な限り迅速に重要な情報を収集し、分析することに重点を置いています。初期のリスク評価、迅速な対応、または緊急の意思決定が必要な状況に特に有用です。
ファストフォレンジックでは、RAM(ランダムアクセスメモリ)、登録情報、実行中のプロセス、ネットワーク接続など、システムの「ライブ」データを調査します。
ディープフォレンジック(Deep Forensics)
これはより詳細で時間がかかるプロセスであり、通常はデータの全体的な分析を含みます。ハードドライブや他のストレージデバイスの詳細なイメージングと解析、削除されたファイルの回復、システムのログファイルや履歴の詳細な分析などが含まれます。
このアプローチは通常、法廷での証拠として使用される可能性がある詳細な情報を提供するために使用されます。
したがって、ファストフォレンジックとディープフォレンジックは、状況に応じて選択される異なるデジタルフォレンジクスの手法です。どちらのアプローチも、その特定の調査の目的と要件に基づいて選択され、適用されます。
フォレンジック調査が遅れたときのリスク
フォレンジック調査が遅れると、次のような被害の拡大が考えられます。
証拠の失効
調査が遅れると、重要な証拠が消失、改ざん、または上書きされる可能性があります。デジタルフォレンジックの場合、ログファイルが自動的にローテーションされたり、不正行為を行った者が証拠を消去したりする可能性があります。
法的な影響
犯罪や不正行為に関連する法的な訴訟では、証拠の収集や保存が適切に行われないと、証拠の信頼性や採用可能性に影響を及ぼす可能性があります。
継続的な不正行為
不正行為やセキュリティ侵害の場合、早期の発見と対応が不正行為の規模を制限し、被害を最小限に抑えることが可能です。しかし、調査が遅れると、犯罪者が続けて不正行為を行い、組織に更なる被害を及ぼす可能性があります。
損失の増大
データ侵害や不正行為が発生した場合、フォレンジック調査が遅れることで、損失が増大する可能性があります。これには、金銭的な損失、企業の評判の損失、顧客の信頼の損失などが含まれます。
したがって、何か疑わしい活動や事件が発生した場合、迅速なフォレンジック調査は、証拠の確保と被害の最小化のために非常に重要です。
国内のフォレンジック調査事例
力士八百長事件
力士八百長事件は、相撲界における八百長試合の存在が明らかになったスキャンダルです。この事件の調査過程では、関係者の携帯電話からの情報抽出がキーとなりました。
特に、メッセージのやり取りから八百長の実態が浮かび上がり、相撲界の信頼性に深刻なダメージを与えました。デジタルフォレンジックの手法により、消去されたと思われたデータの復元や、デジタルデバイス内の証拠の分析が行われ、事件の解明に大きく寄与しました。
ライブドア事件
2006年に発覚したライブドア事件は、日本のインターネット界に衝撃を与えた不正会計のスキャンダルです。この事件では、ライブドア株式会社及びその関連会社が、売上高の水増しや架空の利益の計上など、粉飾決算を行っていたことが明らかになりました。
主要な関係者の逮捕に至るまで、多くのメディアで報じられ、株式市場に大きな混乱を引き起こしました。デジタルフォレンジック技術が事件の解明に重要な役割を果たし、押収されたPCやサーバー内の電子データから重要な証拠が発見されました。
弁護士との連携の重要性
これらの事例からも分かるように、フォレンジック調査は単なる技術的な調査にとどまらず、法的な証拠として活用されることが多くあります。そのため、調査会社と弁護士との連携が非常に重要になります。
特に訴訟を見据えた調査の場合、法的な証拠能力を持つ形でのデータ保全と分析が必要となり、弁護士の指導のもとで調査を進めることが求められます。
まとめ:適切なフォレンジック調査会社選びが企業を守る
フォレンジック調査会社の選択は、企業のセキュリティインシデント対応において極めて重要な決定です。参照した調査結果によると、31社を調査した中で、実際に下請けに出さず自社で調査を完結できる会社は限られているという実態が明らかになりました。
FRONTEOやレオンテクノロジーのような実績豊富な企業から、AOSデータのような簡易調査ツールを提供する企業まで、各社それぞれに特徴があります。重要なのは、自社のニーズに合った調査会社を選択することです。
調査会社を選ぶ際は、技術力や実績だけでなく、迅速な対応力、アフターフォローの充実度、そして弁護士との連携体制なども考慮に入れる必要があります。また、ファストフォレンジックとディープフォレンジックの使い分けができるかどうかも、効率的な調査を行う上で重要なポイントです。
サイバーインシデントは待ってくれません。いざという時に慌てることがないよう、平時から信頼できるフォレンジック調査会社との関係を築いておくことをお勧めします。そうすることで、万が一の事態が発生した際も、迅速かつ適切な対応が可能となり、企業の信頼とブランドを守ることができるでしょう。
この記事が役に立ったら、ぜひ詳細をご覧ください
まずは無料で相談!