フォレンジック調査って何するの?具体的なインシデント事例と共に、調査手法を限定公開!

フォレンジック調査って何するの?具体的なインシデント事例と共に、調査手法を限定公開!
フォレンジック調査って何するの?具体的なインシデント事例と共に、調査手法を限定公開!

「システムに不正アクセスがあったかもしれない...」「ランサムウェアに感染したけど、どこから侵入されたんだろう?」

こんな状況に直面した時、あなたならどうしますか?実は、こうしたセキュリティインシデントの真相を科学的に解明する「フォレンジック調査」という手法があります。

私も情報セキュリティの現場で長年働いてきましたが、フォレンジック調査の威力を目の当たりにした時の驚きは今でも忘れられません。削除されたはずのファイルから犯人の痕跡を発見したり、複雑なサイバー攻撃の全貌を時系列で再現したり。まさに「デジタル世界の探偵」とも言える技術です。

ところで、フォレンジック調査と聞くと、どこか専門的で敷居が高いイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?確かに高度な技術が必要な分野ですが、その基本的な仕組みや重要性を理解することで、いざという時の対応が大きく変わります。

フォレンジック調査の基本概念と3つの種類

フォレンジック調査の基本概念と3つの種類

フォレンジック調査とは、セキュリティインシデント発生時に端末やネットワーク内の情報を科学的に収集・分析し、被害状況の解明や法的証拠の確保を行う調査手法です。

「フォレンジック(forensic)」という言葉は「法廷の」という意味で、もともと法医学の分野で使われていました。デジタル分野においても同様に、法的手続きで使用できる証拠を適切に収集・保全することが重要な目的となっています。

実際の調査では、以下の4つのフェーズで進められます:

IT分野における3つの主要な調査種類

コンピュータフォレンジック

PC、サーバー、記録媒体を対象とした調査手法です。ハードドライブ、メモリ、ファイルシステムから証拠を収集し、不正アクセスやデータ改ざん、ウイルス感染の痕跡を解析します。

ネットワークフォレンジック

ネットワーク機器やログファイルを中心とした調査です。パケットキャプチャの解析により、不審な通信や攻撃者の侵入経路を特定できます。意外と知られていませんが、ネットワークログには攻撃者の「足跡」が詳細に残されているケースが多いんです。

ファストフォレンジック

緊急性が高い場合に実施される迅速な調査手法です。必要最小限のデータを短期間で収集し、初期判断を行います。サイバー攻撃が進行中の場合など、「1分1秒を争う」状況で威力を発揮します。

なぜフォレンジック調査が必要なのか?4つの重要な理由

なぜフォレンジック調査が必要なのか?4つの重要な理由

企業のセキュリティ担当者として、なぜフォレンジック調査への投資が必要なのでしょうか?その答えは、以下の4つの重要な価値にあります。

1. インシデント発生原因の確実な特定

単なる推測ではなく、科学的な証拠に基づいて攻撃手法や侵入経路を特定できます。例えば、不正アクセスに利用された脆弱性や、マルウェアの感染経路を正確に把握することで、的確な対策を講じることが可能になります。

2. 被害拡大の迅速な防止

攻撃が進行中の場合、感染範囲や影響度を素早く把握することで、被害の拡大を最小限に抑えられます。これは、企業の事業継続性の観点からも極めて重要です。

3. 再発防止策の効果的な立案

根本原因が明確になることで、同様のインシデントを防ぐための具体的で実効性のある対策を策定できます。単なる対症療法ではなく、本質的な改善につながります。

4. 法的証拠としての価値確保

適切な手順で収集・保全されたデータは、裁判において高い証拠能力を持ちます。攻撃者の特定や損害賠償請求において、強力な武器となるでしょう。

実際に解決された有名事例:パソコン遠隔操作事件

実際に解決された有名事例:パソコン遠隔操作事件

フォレンジック調査の威力を示す代表的な事例として、「パソコン遠隔操作事件」があります。この事件では、フォレンジック技術が真犯人の特定に決定的な役割を果たしました。

事件の概要は衝撃的でした。犯人が他人のPCを遠隔操作して殺害予告や爆破予告を行い、遠隔操作されたPC所有者5名のうち4人が誤認逮捕されたのです。

実際には、被害者のPCは「トロイの木馬」と呼ばれるマルウェアに感染しており、犯人はこれを通じて遠隔操作を実行していました。さらに犯人は「Tor」というソフトウェアを悪用してIPアドレスを隠蔽し、追跡を困難にしていました。

ところが、警察による綿密なフォレンジック調査により、真犯人が使用した会社PCから決定的な証拠が発見されました。削除されたファイルのパス名や、開発途中の遠隔操作ソフトのバージョン情報などが検出され、最終的に犯人逮捕につながったのです。

この事例は、高度に隠蔽された犯罪であっても、適切なフォレンジック調査により真相を解明できることを示しています。

フォレンジック調査の具体的な4つの手順

フォレンジック調査の具体的な4つの手順

実際のフォレンジック調査は、厳格な手順に従って実施されます。各段階での適切な作業が、最終的な調査の信頼性を左右するため、細心の注意が必要です。

1. 証拠保全

最も重要な工程の一つが証拠保全です。デジタルデータは容易に改変・改ざんが可能なため、データの真正性を保つことが不可欠となります。

専用ツールを使用してデータの完全な複製を作成し、ハッシュ値による整合性検証を行います。この段階での作業ミスは、後の調査結果すべてを無効にしてしまう可能性があります。

2. データの復元

犯人によって意図的に削除されたファイルや、機器損傷により読み取り困難になったデータを復元します。特殊なソフトウェアや技術を駆使し、物理的なデバイス復旧やバックアップからの復元など、様々な手法を組み合わせます。

3. 解析・分析

保全したデータを詳細に解析し、犯罪行為の証拠を探します。具体的な解析対象としては:

これらの情報を時系列で整理し、攻撃者の行動パターンや犯行の全体像を把握します。

4. 報告

調査結果を法的に有効な報告書として文書化します。使用した調査手法、ツール、解析結果、推論される事実、推奨される対策などを詳細に記載します。

この報告書は裁判所や関係当局への提出資料となるため、客観性と正確性が強く求められます。

絶対にやってはいけないNG行為3選

絶対にやってはいけないNG行為3選

フォレンジック調査では、証拠の信頼性を保つため、避けるべき行為があります。これらを知らずに実行してしまうと、重要な証拠を失ったり、調査結果の信頼性を損なったりする危険性があります。

1. システムのシャットダウンや再起動

調査対象システムをシャットダウンすると、メモリ内の一時データ、実行中のプロセス情報、ログデータなどが消失する可能性があります。これらの情報は攻撃の解明に重要な手がかりとなることが多いため、慎重な判断が必要です。

2. ネットワーク接続を維持したままの操作

インターネット接続が維持されていると、攻撃者がリモートから証拠隠滅を図ったり、継続的にシステムにアクセスしたりするリスクがあります。適切な証拠保全後は、システムをネットワークから分離することが推奨されます。

3. 証拠ファイルの直接操作

調査中にファイルを直接開いたり編集したりすると、タイムスタンプやメタデータが書き換えられ、証拠としての価値が失われます。必ず複製を作成してから作業を行うことが重要です。

外部委託する3つのメリット

複雑なフォレンジック調査の場合、外部の専門機関に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。

1. 調査時間の大幅短縮と迅速な対策実施

社内のセキュリティ担当者が他業務と並行して調査を行う場合、相当な時間を要することが予想されます。専門機関への委託により調査期間を短縮し、早期の対策実施につなげることが可能です。

2. 客観的で法的に有効な証拠の確保

内部調査では利害関係やバイアスが生じ、結果の信頼性が疑問視される場合があります。第三者機関による客観的な調査は、法廷での証拠能力が高く評価されます。

3. 二次被害リスクの回避

証拠保全は極めて繊細な作業であり、専門知識なしに実行すると、重要なデータを破損させてしまう危険性があります。経験豊富な専門家に委託することで、このようなリスクを回避できます。

信頼できるパートナーの選び方

フォレンジック調査を外部委託する際は、以下のポイントを重視して選定することをお勧めします。

対応スピード

インシデント発生から調査開始までの時間、結果報告までの期間を事前に確認しましょう。緊急性の高い案件では、24時間対応可能な業者を選ぶことも重要です。

費用体系の透明性

料金体系が明確で、追加費用の発生条件が事前に説明される業者を選びましょう。概算見積もりを複数社から取得し、比較検討することをお勧めします。

セキュリティ体制

調査対象となる機密データの取り扱いについて、適切なセキュリティ体制が整備されているかを確認しましょう。ISO27001などの認証取得状況も参考になります。

法的証拠としての報告書発行

訴訟を視野に入れている場合は、法廷で有効性が認められる調査報告書を発行できるかどうかを確認することが重要です。

MOTEXのインシデント対応パッケージとツール紹介

MOTEX(エムオーテックス)では、フォレンジック調査の専門家による「インシデント対応パッケージ」を提供しています。このサービスは、感染状況の調査から影響範囲の特定、復旧支援、さらにはコンサルティングまでを包括的にカバーしています。

インシデント対応パッケージの特徴

標準メニューとして、感染端末に対する侵害痕跡の「フォレンジック調査」を実施します。さらに、お客様のニーズに応じて保全作業やアドバイザリーサービスなどのオプションメニューも用意されています。

「自社でのフォレンジック調査や復旧作業が困難」「感染経路や影響範囲の特定を専門家に任せたい」という企業様にとって、心強いソリューションとなるでしょう。

フォレンジック調査をサポートするLANSCOPEソリューション

AIアンチウイルス統合型EDR「CylanceOPTICS」

CylanceOPTICSは、次世代アンチウイルス「CylancePROTECT」と連動するEDRソリューションです。未知のマルウェアでも99%の精度で予測検知・隔離が可能で、AIによる高精度な脅威検知から調査、封じ込め、復旧まで一連の対応を実現します。

復旧プロセスでは、フォレンジック用の証拠取得機能も提供されており、インシデント対応において強力なサポートツールとなります。

NDR「Darktrace」による異常検知・可視化

Darktraceは、企業ネットワークやクラウドのパケットを収集し、通信状況を可視化するNDRソリューションです。異常な挙動をリアルタイムで検知し、検知したイベントを時系列でさかのぼって画面上で再現できます。

通信パケット情報のエクスポートやフォレンジック分析による詳細調査も可能で、インシデントの早期発見・対策において重要な役割を果たします。

IT資産管理・MDMツール「エンドポイントマネージャー クラウド版」

LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版では、内部不正の原因特定に不可欠なPC操作ログを自動取得し、最大5年分を保存できます。

「いつ」「誰が」「どのPCで」「どんな操作をしたか」を詳細に記録し、不正な操作があった場合はアラートで管理者に通知します。早期のインシデント発見と証拠収集の両面で効果を発揮します。

まとめ:効果的なフォレンジック調査の実現に向けて

フォレンジック調査は、現代のサイバーセキュリティ対策において不可欠な技術となっています。適切な調査により、インシデントの原因特定、被害拡大防止、再発防止策の立案、そして法的証拠の確保が可能になります。

ただし、効果的な調査を実現するためには、適切な手順の遵守と専門的な知識・技術が必要です。特に複雑なケースでは、経験豊富な外部専門機関への委託を検討することをお勧めします。

MOTEXのインシデント対応パッケージをはじめとする専門サービスを活用することで、迅速かつ確実なフォレンジック調査が実現できるでしょう。また、CylanceOPTICS、Darktrace、エンドポイントマネージャーなどの予防・検知ツールと組み合わせることで、包括的なセキュリティ体制の構築が可能になります。

サイバーセキュリティの脅威が日々高度化する中、「備えあれば憂いなし」の精神で、フォレンジック調査への理解を深め、適切な準備を進めていくことが重要ではないでしょうか。

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